ニッポン放送 NEWS ONLINE編集部
数量政策学者の高橋洋一が9月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月から始まるインボイス制度について解説した。

インボイス閣僚会議 ~経済的に影響を受ける事業者への支援策を盛り込む方針
政府は消費税のインボイス制度が10月に始まるのを前に、円滑な実施に向けた関係閣僚会議の初会合を週内に開く。10月中に取りまとめる経済対策に、影響を受ける事業者への支援策を盛り込む方針。

飯田)インボイス、消費税の仕入税額控除の方式。正式名称は「適格請求書等保存方式」です。請求書を発行して相互に保存しておき、仕入れた税額の控除が適用される。消費者から10%で取りますが、原価があるからその分の消費税は払うという形の仕送り方式です。ここへ来て反対の声も出てきています。

高橋)サラリーマンの人はあまり関係ないですよね。

飯田)すべて天引きですからね。

マスコミの場合、課税事業者は「消費税込みの出演料」でも、それに応じた消費税を払わなければならない
高橋)私たちのように自営で、テレビやラジオなど、メディアに出ている人にとっては切実なのです。

飯田)いままで正式な契約書や請求書を取り交わしていたかと言うと……。

高橋)あくまでも一般論で言うと、コミコミでやっている場合が多いのです。「出演料は消費税込みだ」と言われているのですが、「消費税はオンできない」という場合が多いのですよ。私が非課税事業者であれば、これらは何の問題もないわけです。

飯田)非課税事業者ならば。

高橋)しかし、私は業者としては課税事業者なわけです。だから出演するときに消費税分はもらっていないのですが、出演料に応じた消費税を払うわけです。

飯田)納付義務がある。

高橋)これがきついのです。なぜ余計に払わなければいけないのだと。売り上げの10%をずっと払っているのです。一方で、マスコミの方々はもちろん課税事業者だから、自分たちが外に商品を売るときは、実は消費税を貰っています。貰っているけれど、私たちには払っていない。

インボイス制度を機に「消費税分をオンしたものを堂々と請求できる」という側面もある
飯田)いままでは消費税を導入するときの激変緩和など、いろいろな批判があったから、一定規模の事業者まで、いわゆる中小事業者は「納付は頑張ってくださいね」くらいの感じだった。ものを売って消費税を貰うのだけれど、それが利益の一部になっていたと。いわゆる益税ですね。

高橋)法人税と一緒なのだから、違法だという話ではないのですが、「貰っているけれど仕入れの方には払っていない」というパターンが多いですよね。

飯田)なるほど。

高橋)そのしわ寄せがどこに行くかと言うと、私たちのような課税事業者のところに全部来てしまうわけです。インボイス制度は世界中にあるけれど、なぜあるかと言うと、このような不公平な話をなくすためです。インボイスを見ると付加価値がわかるから、「付加価値に応じてすべての取引段階でみんな払いましょう」となりやすい。だから私はマスコミの方に対して、「この機会にオンさせてください」と言っていますよ。

飯田)消費税分を。

高橋)私は課税事業者だから、もちろん登録番号があります。そうすると請求書に自分の番号を書いて、正々堂々とオンしたものを請求できるわけです。その番号があると仕入税額控除ができるから、私の取引先の方も「どうぞ」となります。

飯田)仕入税額控除ができるから。

高橋)売っているときは消費税を貰っていますから、すごく懐が痛むわけではないのですけれどね。私はこの機会に請求書に番号を書いて、きちんとオンして請求しています。私個人にとってはプラスなのですが、なかには「オンしたら切られてしまうかも知れない」という人もいる。

飯田)なるほど。いままでよりも、例えば10%増しの金額を請求することになるから。