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慰労会の会場を後にする立憲民主党の菅直人元首相(右)と菅内閣で官房副長官を務めた福山哲郎氏=15日夜、東京都千代田区(奥原慎平撮影)

旧民主党の菅直人内閣(平成22年6月~23年9月)の閣僚らが15日夜に開いた菅氏に対する慰労会。官房長官を務めた立憲民主党の枝野幸男前代表や教育無償化を実現する会の前原誠司代表、自民党の松本剛明総務相ら20人が駆け付け、東日本大震災に直面した菅政権の452日間を振り返った。低迷する野党勢力を念頭にOBが活を入れる場面に加え、菅氏を「名宰相」と持ち上げる場面もあった。

当時の熱を復活させたい

出席したのは菅内閣で財務相を務めた立民の野田佳彦元首相、行政刷新担当相だった蓮舫氏、国土交通相だった馬淵澄夫氏、官房副長官だった国民民主党の古川元久国対委員長ら。政界を引退した文部科学相だった川端達夫氏や経済産業相だった大畠章宏氏らも顔を出した。

菅氏は昨年11月、地盤とする衆院東京18区から次期衆院選の不出馬を表明したため、引退した防衛相だった北沢俊美氏や枝野氏、経済産業相を務めた海江田万里衆院副議長が企画したという。

東京・紀尾井町のホテルで行われた会合は冒頭、能登半島地震の犠牲者に黙とうをささげ、2時間近く思い出話に花を咲かせた。会合後、野田氏は記者団に「菅さんに感謝を伝えた」といい、馬淵氏は「一番大変な時期に力を合わせて乗り切ったメンバーだ。当時の熱量を、もう一度党に復活させたいね」と満足げに語った。蓮舫氏も記者団に親指を立てて、さっそうと会場を後にする。

相次いだ〝功績〟たたえる発言

菅氏の慰労会とあって、首相時代の〝功績〟をたたえる出席者の熱量は普段より高かった。

前原氏は国土交通相として日本航空の経営再建に尽力した当時を振り返り、「(鳩山由紀夫政権時代に)財務相だった菅さんがいなかったら日本航空の再生はなかった」と称賛する。

枝野氏も「異端と思われる人物が時代を動かす。そうした意味で菅さんは一定の役割を果たされた」と述べ、「開きかけた(改革の)扉が、また閉じるのではないかといわれる状況だ」と菅氏の〝喪失〟を残念がった。

発起人となった北沢氏も取材に応じた。東日本大震災発災翌日に菅氏が電源喪失した東京電力福島第1原発や被災した三陸沿岸部を視察した対応に触れ、「原発の災害について彼以外の人ができないことをやった。ヘリコプターで現地をくまなく見て、原発の現場にも立ち寄っただろう。あれが全てだ」と強調し、「現地を首相が把握して対応するのは極めて重要だ。戦後政治の中で大きな災害を食い止めた名宰相だと思う」と続けた。

国会の東電福島原発事故調査委員会は報告書で首相官邸の対応について「官邸による発電所現場への直接的な介入に関しては、現場対応の重要な時間を無駄にしたほか、指揮命令系統の混乱を拡大する結果」と記し、菅氏の初動対応を批判している。菅氏を持ち上げたのは北沢氏は大の「菅直人好き」で知られるためか。