1946年夏、朝鮮から日本への「密航」を経験し、戦後は混乱の中、「洗濯屋」としてどうにか東京で暮らしをつむぎながら作品を残した尹紫遠(ユン・ジャウォン:1911-1964)という在日朝鮮人作家がいました。これまでごくわずかに知られるだけだったこの作家について、2022-2024年にかけて4冊の本が刊行されました。1冊目が本稿で紹介する弊社・琥珀書房が刊行した尹紫遠の日記。在日1世の日記としては初めての公刊でした。2冊目と3冊目は尹の残した作品(自伝的歌集『月陰山』と『未刊行作品選集』※いずれも弊社刊)。そして4冊目が2024年1月に刊行された、日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」初となる書籍化企画、『密航のち洗濯』(柏書房)。なぜいま、尹紫遠なのか?日記を発端とした、100年の出版リレーをご紹介します。

つづき
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