――不正をしても見つかる率が低いと。
社会が研究不正に無関心で、野放しになっています。一つ目、二つ目の論文で共同研究者やまわりの人が気づいて注意をすればいいのに注意しない。研究不正を続けても告発しない。日本では告発するハードルが高い。
海外には、ボランティアで研究不正疑惑を指摘する人たちがいます。そういう人たちが日本の論文の疑義を「PubPeer」などのウェブサイトで指摘し、同時に、学術誌と日本の大学に告発する。日本の大学は、無視できなくなって調査する。あるいは盗用された被害者が告発することもあります。
――告発があれば、大学は調査することになっています。
日本の調査は甘すぎる。そもそも所属している教員を大学が調査して罰する仕組み自体に限界がある。大学は基本的に不正と認定したくない。不正と認定すれば研究費を返す必要が出てきたり、大学の評判は落ち、入学志望者は減ったりするかもしれないですから。
調査する人は大学教員で、調査の専門家でないことが多く、調査に関してはほぼ素人集団です。
大学は告発を受けても、予備調査をするかしないか、独自に決められます。 続