勇気を振り絞って忌まわしい過去を告白したのに、私がなぜ攻撃されなくちゃいけないの? 「父親」から性的な虐待を受けた高校生の女性(19)=大阪市=は事件後、社会の偏見や誤解で心をえぐられた。性暴力の被害者が周囲の言葉でさらに傷つけられる「セカンドレイプ」は、泣き寝入りを生む温床とも言われる。「被害者に寄り添う社会であってほしい」。そんな切実な思いから取材に応じた女性の訴えに耳を傾けたい。

 悪夢のような日々はあの日から始まった。「プロレスごっこしようや」。2019年の蒸し暑い夏。自宅でテレビを見ていたら、「父親」に突然馬乗りになられて全身を触られた。母親は入浴中で、助けを求めることができなかった。

 海外留学の夢がかない、渡航を翌日に控えていた。「英語を学んで、世界中の人と交流してみたい」。わくわくした気持ちを抑えきれないほど心を躍らせていたのに、一気に暗闇に突き落とされた。

 「父親」は、母親と内縁関係にあった男性(32)だ。女性が小学2年生の頃から同居が始まった。一緒に遊んでくれることもあったが、しつけに厳しく、感情が高ぶると母子に手も上げる。いつの間にか男性の顔色をうかがい、機嫌を損ねないように生活するようになっていた。

「SOS」出せなかった理由は
 性暴力は20年春に留学先から帰国した後にも起きる。「…