2年3カ月ぶりに日本に一時帰国したが、コロナ規制が厳しく閉口した。入国に際し成田空港で3時間以上待機させられ、1週間の間にPCR検査は3回で、外出自由な日はわずか3日間。それに比べ韓国の仁川空港での入国は30分足らずでパスだった。

それでも日本滞在中、寸暇を惜しんで外食し韓国向けに土産話を仕入れた。その一つが「梅キムチ」。東京郊外の自宅近くの焼き肉店で出てきたのだが、辛さと酸っぱさが絶妙で実にうまかった。日本では商品化されているようだが韓国にはない。韓国人は梅干しの酸っぱい味に弱いといわれるが、その梅干しをキムチにするとは日本の食文化の発想はすごい。

もう一つの驚きは駅前にあったお持ち帰り専門のビビンバ店。韓国でビビンバというとほぼ1種類だが、何と10種類以上もある。定番の野菜系のほか各種の焼き肉をのせたのが多い。タン塩もあればあぶった海鮮系もある。「納豆キムチビビンバ」もあった。こんな多種多様なビビンバは韓国にはない。ほとんど千円以下なのに結構うまい。

韓国では日本ルーツののり巻き(キムパプ)が日本以上に発達して「キムパプ天国」なる全国チェーン店があるが、今度は日本が「ビビンバ天国」になりそうだ。食文化は簡単に国境を越える。(黒田勝弘)

https://www.sankei.com/article/20220507-3ZT6YV72VZMBXHC7NHJEOVSY6U/