具体策なく字面のみ
少子化を巡る国会論議はどうも胡散(うさん)臭い。今春に統一地方選挙を控えており、与野党そろってバラまき施策を競い合っている感がする。とりわけ児童手当は迷走している。「貧乏人の味方」と称した共産党まで「お金持ち」(年収1200万円以上)にも支給せよと唱えているから苦笑する。自民党の茂木敏充幹事長が所得制限を訴えてきた従来の姿勢を「反省する」と表明するに至っては、開いた口が塞(ふさ)がらなくなった。

新聞も似たり寄ったり。社説では、毎日(「『反省』の中身こそ重要だ」3日付)と東京(「自民の『反省』形だけか」1日付)は茂木発言に飛びついて自民党を皮肉る。産経(「『児童手当』に終始するな」1日付)、朝日(「具体化を先送りするな」1月28日付)、日経(「実効ある少子化対策へ全体像の議論を」同27日付)、読売(「『異次元』の対策どうまとめる」同21日付)のどれを読んでも字面は勇ましいが、具体策がなく銭勘定の「カネ次元」に流されている。