4/18(火) 7:02    現代ビジネス
https://news.yahoo.co.jp/articles/778810236174df66c666ec19da7403b32893728c

リスクが申し訳程度にしか言及されていない
夢洲(写真中央右の埋め立て地) photo by gettyimages

 政府が4月13日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の日本誘致を目指す「IR推進本部」(本部長:岸田総理)の会合を開き、大阪府と大阪市が策定した計画を日本初のIRとして認定したことに、地元政財界などがおおいに湧いている。


 計画は、アメリカのMGMリゾーツ・インターナショナル、オリックスなど20社近くが出資する「大阪IR株式会社」が約1兆800億円を初期投資し、大阪・関西万博の会場予定地に隣接する、大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)にカジノや国際会議場、ホテル、劇場といった施設を揃えた統合型リゾートを建設するというものだ。昨年4月に大阪IRが大阪市に提出した環境影響評価方法書によると、延床面積は848000m²。これは東京ドームの18倍強に相当する計画で、3200台が収容可能な大型駐車場も建設。早ければ2029年秋に、開業し、以後、年間2000万人の来客と5200億円の売り上げを見込んでいる。

 この決定に、政府や地元政財界、メディアはすっかりお祭り騒ぎだ。岸田総理はIR推進本部の会合で、「IRは国内外から多くの観光客を呼び込むものとして、日本が観光立国を推進する上で重要な取り組みだ」と強調、大阪府の吉村知事も「あらゆる来訪者に非日常を楽しんでいただける世界でここにしかないIRです。大阪の成長に向けていよいよ始動です」と満面に笑みを浮かべてユーチューブ動画を配信した。京阪ホールディングスや丸一鋼管、大和ハウス工業といった出資会社も歓迎コメントを出したという。

 その一方で、リスクについて、関係者は申し訳程度に、観光客の増加に伴う治安の悪化とギャンブル依存症の人が増える可能性に触れるにとどまっている。これらは、当然、万全の対応が求められるポイントだ。

 しかし、筆者は、そうしたことよりも、もっと大きなリスクが横たわっている気がしてならない。建設予定地の夢洲は、いわくつきの土地なのだ。

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