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毎日新聞 2021/12/19 09:00(最終更新 12/19 09:15) 有料記事 2645文字




 「ビルマ(ミャンマー)は小説『1984年』が現実味を帯びた国だった」――。英国の小説家ジョージ・オーウェル(1903〜50年)が警察官として約5年を過ごしたミャンマーで、彼の足跡を訪ね歩いた米国人女性ジャーナリストの旅行記がある。出版から17年たった2021年、再び国軍によるクーデターが起きた。著者は今、ミャンマーをどのように見ているのだろうか。

 オーウェルの本名はエリック・アーサー・ブレア。英国の植民地だったインドに生まれ、その後、帰国。名門イートン校を卒業し、英領インドの統治下にあったビルマ(ミャンマー)で約5年にわたり警察官を務めた。

 パリやロンドンで放浪生活を送った後、1934年に「ビルマの日々」を出版した。代表作として、全体主義をテーマとした寓話(ぐうわ)「動物農場」(発表45年)や「戦争は平和、自由は屈従、無知は力」を掲げる独裁者が国民を監視する世界を描いた小説「1984年」(同49年)などが知られている。

 オーウェルが滞在した最大都市ヤンゴンや中部マンダレー、北部カターなどを巡った「Secret Histories: Finding George Orwell in a Burmese Teashop」(邦題・ミャンマーという国への旅)。著者のエマ・ラーキンさんは、バンコクの広場でコーヒーを片手に切り出し…

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