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毎日新聞 2022/1/21 19:48(最終更新 1/21 19:58) 549文字




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最高裁判所=東京都千代田区隼町で、本橋和夫撮影

 手術直後の女性患者にわいせつな行為をしたとして準強制わいせつ罪に問われ、1審で無罪、2審で実刑判決を受けた男性医師(46)の上告審弁論が21日、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)で開かれた。弁護側は「麻酔の影響で幻覚を見た可能性を否定した2審判決は非科学的だ」と無罪を主張し、検察側は上告棄却を求めて結審した。判決日は後日指定される。結論を変更する際に必要な弁論が開かれたため、2審判決が見直される可能性がある。

 医師は2016年5月、東京都足立区の病院で女性の右乳腺腫瘍を摘出する手術をし、直後にベッドで寝ていた女性の左胸をなめるなどしたとして起訴された。女性が麻酔の影響で妄想が生じる「せん妄」状態にあったのかや、女性の胸から被告のDNA型が多量に検出されたとする捜査段階の鑑定の信用性が争点。



 弁護側は、DNA型鑑定について「警察はデータを意図的に廃棄し、検証の機会を奪った。信用性は認められない」と主張。検察側は「鑑定は適切に行われた。関係者の供述でも犯行は裏付けられており、せん妄の可能性を考える必要はない」と反論した。

 19年2月の東京地裁判決はせん妄状態の可能性を認めて無罪(求刑・懲役3年)としたが、20年7月の東京高裁判決は幻覚を見た可能性を否定し、懲役2年とした。【近松仁太郎】