日本以外の国で「おいしい日本酒」を作るのが難しい「納得の理由」 秘密は「地下」にあった…!
週刊現代2022.12.12
https://gendai.media/articles/-/103025

日本ならではのお酒

日本は付近に4つのプレートが相接する、世界でも有数の地震・火山大国だ。また、島国でありながら、国土の約75%を山地が占める。このような特異な成り立ちは、四季折々の食材を育む土壌になっている。
和の食材の代表格ともいえる高級魚、鯛は縄文時代から日本人に食され、青森県の三内丸山遺跡からは20cmの大きさのマダイの骨が発見された。この骨がバラバラになっていないことから、すでに三枚におろすという調理法が確立されていたのではないかとされている。

和食の良き友となるのが日本酒だ。その誕生は日本ならではの地質、地形と深い関係がある。
日本の水の大半が軟水だ。それは急峻な地形が多く、川の流れが速くて土中の成分が水に溶け込む暇がないことが理由の一つになっている。
また、日本の地盤の約10%が、火成岩の花崗岩、もしくは花崗岩由来の砂で覆われていることが大きい。花崗岩には鉄分、カルシウム、マグネシウムに乏しく、カリウムを豊富に含んでいるという特徴があり、それが日本特有の軟水を生み出すのだ。
そんな花崗岩から生み出された軟水が日本酒製造には欠かせない。
日本酒の製造過程で、米本来の旨味と甘みを引き出す「糖化」に用いられる麹菌は鉄分を極端に嫌う。また、香味を出すための発酵段階では酵母菌が使われる。その酵母菌はカリウムを栄養源として活動する。
つまり、日本酒の製造に必須なこれらの2つの菌は日本の水だからこそ、真価を発揮する。花崗岩が多い国土が日本酒を生んだといっても過言ではないのだ。
そして、古くからその軟水の性質に着目していた日本人は、後背地に花崗岩でできた山を持つ西条(広島県)、灘(兵庫県)、魚沼地方(新潟県)など、今なお日本酒の名産地として知られる場所に多くの酒蔵を作ってきたのである。
地球の運動という悠久の歴史に思いを馳せながら、和食と日本酒を楽しむのもまた一興だろう。
「週刊現代」2022年12月10・17日号より