2023年3月27日 05時05分 (3月27日 11時05分更新)

 金沢市中心部の地下道で約三十年間、路上生活をしてきた男性(60)が今月上旬、生活保護を申請し、アパートへ入居した。これにより、路上生活者を支援する市民団体「かなざわ夜回りの会」が把握する市内で定住する路上生活者はいなくなった。 (神尾大樹)

 「新型コロナウイルスで暖かい所に行けないのが苦痛になった。心まで寒くなった」。肌寒い朝、背中を丸めながら男性は路上生活を終える理由を明かした。
 兄の借金を肩代わりしたのが始まり。自身もギャンブルにおぼれ、二百万円ほどの負債を抱えた。相次ぐ督促電話が嫌になり家を出た。働きに出たが、人付き合いが苦手で続かなかった。
 「働くぐらいなら不便でもこの生活が良い」。雑居ビルや金沢駅近くの地下道を転々とする路上生活を始めた。多い時には広場に十人近くの仲間がいた。北陸新幹線の金沢開業が近づいた二〇一四年ごろから、数が減っていった。数年前から、男性が知る限り路上生活者は自分一人になった。
 そんな中、コロナ禍が影を落とす。読書に没頭できる図書館は長時間滞在を自粛するアナウンスが繰り返され、温かいお茶が飲めた競馬場も入場が制限された。路上の寝泊まりがこたえるようになった。還暦を迎えることを機に決断した。

     ===== 後略 =====
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