女子大に願書の男性巡る記事、新潮社に55万円賠償判決「限度超える侮辱」福岡地裁
毎日新聞2019年9月26日 18時29分(最終更新 9月26日 18時38分)
https://mainichi.jp/articles/20190926/k00/00m/040/205000c

 週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたとして、福岡県に住んでいた男性が新潮社らに220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、福岡地裁であり、立川毅裁判長は一部内容について「社会通念上許容される限度を超える侮辱行為に当たる」として、55万円の支払いを命じた。

 判決によると、県内で栄養士資格が取れる国公立大は公立福岡女子大だけで、男性は栄養士を目指して2015年度入試の社会人枠で同大に願書を提出したが、女性の入学しか認めていないとして不受理となった。
 男性は、不受理は違憲として15年1月に同大を提訴(同年8月に取り下げ)。
 新潮社は週刊新潮に「女子大に入りたい男」との表題で記事を掲載した。

 男性は「読み手に性的マイノリティーであり、小遣い稼ぎ目的で提訴したかのような誤解を与えた」などと主張。
 判決は記事のうち「そんなに小遣いが欲しいなら歌舞伎役者みたいに体を売ればいいじゃない」などと記載した部分について、名誉感情を侵害したと認定した。
 一方、記事は男性の社会的評価までは傷つけていないとして名誉毀損(きそん)は認めなかった。

 週刊新潮編集部は「意外な結論に驚いています。当方の主張が認められず残念です。判決文を精査した上で、控訴を検討します」とコメントした。【宗岡敬介】