“日本の技術”を集結した、新たな主力ロケット『H3』は、3月までの打ち上げが予定されていましたが、延期が発表されました。

延期は2回目。原因となっているのは、新たに開発している第1段エンジンの不具合です。

これまで、国産のロケットの1段目は“2段燃焼”という方式が使われてきました。燃料を最大限使用できるため、推進力は大きいですが、構造が複雑かつ高コストという欠点もありました。

今回『H3』では、燃焼室は1つですが、噴射熱をエネルギーとして活用する方式を採用。推進力は2段燃焼より劣るものの、構造がシンプルで壊れにくく、コストも抑えられます。

ところが、実験で2つの“誤算”が判明しました。

1つ目は、燃焼室の耐熱設計。想定以上の高温になったことで内壁が変形し、14カ所に穴が空いてしまったというものです。これについての対応策は確立しつつあるといいますが、問題は2つ目の誤算。“エンジンの心臓”ともいうべき、ターボポンプ。その羽の部分の耐久性に問題が発覚しました。

1分間に3万回以上という超高速回転の振動に耐え得る設計のはずが、羽にひびが入ってしまったといいます。これについては、設計から見直すため、実証実験までどのくらい時間がかかるかは不透明です。

“宇宙産業”の新時代が幕を開けた今、この足踏みのダメージは小さくありません。ただ、ペンシルロケット以来、失敗に失敗を重ねてもくじけなかった“日の丸ロケット”です。

JAXA『H3』プロジェクトチーム・岡田匡史氏:「(Q.エンジン開発には『魔物が潜んでいる』とたびたび言っていたが)“魔物”というのは悪いイメージで伝えてしまったかもしれないが、私は技術の神様だと思っていますから、その神様に『お前たち、しっかりやれ』と言われていると思っているので、技術ととにかく向き合い、認めてもらえるまで頑張るしかない」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000242413.html