「“政府の借金はあなたの借金である”そう洗脳されている。でもこれは大きな間違いだ」。そう街頭演説で訴えていた、れいわ新選組の山本代表に、カンニング竹山が迫った。

 竹山は「番組のスタッフとしては“vs”という流れにしたい部分もあるのかもしれないが、僕は考え方をちゃんとお聞きしたい。福島が大好きな僕は、以前は山本さんのことが嫌いだった。でも山本さんが福島駅前で演説しているときに、ちょっとおっかないおっちゃんとも面と向かって話していた。俺はこの男を信用できるなという気持ちになった。支持者ではないが、同じ世代だし、本当のことをガンガン言ってほしいと思っている」と話し始め、「僕のTwitterにも意見が来るし、YouTubeでも見かけるので、ここから話を始めたい。まず、れいわの経済政策はMMTではないのか」と尋ねた。

■れいわ新選組の経済政策は「MMT」ではない

山本:よく言われるが、MMTとは違う。私たちの経済政策、財政政策は、これまで財務省が言ってきたこと、やってきたことを勘案した上で、今のルールの中でできる最大限が元になっている。自国通貨建て国債を発行している国は破綻することがないという、当たり前の話だ。だからこれをMMTだなんだと言うと、話がそれてしまう。

竹山:国債は別に返さなくても良いんだと。それでどんどんやっていっても未来の子どもたちも別に困らないんだという考えだが、返さないといけないという流れで今まできていたじゃないか。

山本:国債は返さなくていいというような説明は、ちょっと言葉足らず、端折りすぎだ。やはり“借金”と呼ばれる国債は返さなきゃいけない。ただし、この“返す”というのが、みなさんが個人で背負われているような借金の感覚とは全く質が違う。

政府は自分たちが作ったお金を社会に供給することができる。景気が悪く、企業は物が売れない、賃金も上げられない、投資もできない、それで社会が回らないというときに財政政策でお金を供給する。それがいわゆる“政府の借金”と呼ばれるものの正体だ。世界中の国がそのような方式をとっていて、経済が落ち込んだ時には財政出動してお金を出し、景気を安定させている。

逆に言えば、これが増えすぎると弊害が出てくる。インフレが進む可能性が出てくるということだ。そのときにはお金を回収しないといけない。この、お金を間引いて社会から消す行為が税金だ。

次に、誰の借金なのかということで戸惑われる部分があるかもしれない。一般的に、誰かの赤字というのは誰かの黒字、言い方を変えれば、誰かの負債は誰かの資産だ。では、政府の赤字は誰の黒字なのか、政府の負債は誰の資産なのか。答えは民間だ。みんなの借金じゃない。政府が借金という形で社会にお金を共有した結果、民間の資産になるということだ。

それをご理解いただくためには、データをご覧いただく必要がある。日本銀行の資金循環統計を見ると、政府の赤字が拡大しているときには民間の黒字が拡大している。これが政府の借金と呼ばれるものの正体だ。政府の負債というのは、民間の資産なんだ。

■インフレ率2%を超えそうになれば、お金を“間引く”

竹山:インフレターゲットは目標2%でラインを引くとおっしゃっているが、いざ止めようと思っても止められないぞという意見もある。

山本:私たちはそうは考えていない。というより、景気を調整するのが政府、主に日本銀行が担うことだ。デフレになっているとき、社会にお金が回っていないときにはお金を生み出し、必要なところに出していく。これによってインフレにしていき、目標に近づいたとき、あるいは加熱したときには税金で間引くということだ。

税金以外にも、短期の政策金利を上げることによってインフレを抑えることもできる。逆に言えば、過去の日本においては早めに政策金利を上げたことでデフレが続いてしまった。ただ、これは効く部分なので。そのような心配は当たらない。

竹山:でも、それが現実的にできるかどうかは別問題だと思う。

山本:コロナ禍において最大限にこれをやったのが、アメリカ政府だ。トランプ政権とバイデン政権で、合わせて610兆円以上のお金を出していて、現金給付も3回やっている。結果、コロナ禍前よりも景気が良くなった。逆に、景気が良くなりすぎたので、短期金利を引き上げるというような判断もこれからしていく状況だ。