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時代劇などで、緊急の連絡をすることを「早馬を飛ばす」と言ったりしますよね。この早馬(はやうま・はやま)とは、どのようなものだったのでしょうか?今回の記事では、早馬に関する豆知識や実際にどれくらいの速さだったのか解説します!

早馬の品種は?
時代劇では、日頃乗馬クラブで見かけるようなアラブ馬やサラブレッドをよく見かけます。しかし、実際に昔の日本で早馬を務めたのはどのような馬だったのでしょうか?

そもそも早馬とは?
まずは、早馬自体がどのようなものだったのか見ていきましょう。早馬とは、まだメールも電話も無かった時代の緊急連絡手段。自分で歩いて相手の所へ行くのでは遅すぎる!というときに、使者を馬で走らせるなどして文や伝言を届けさせました。

室町~江戸時代に多用されたようで、主に大名や武士が使ったと考えられます。たしかに、優れた馬を持てる身分というのは限られていた時代ですからね。

ちなみに、早馬というのはこうした緊急連絡手段のことであり、時代や場面によっては馬でなく使者をしている人自体を早馬と呼ぶ場合もあるようです。

早馬は日本在来馬
当時の武士たちは、もちろん最近よく見かけるようなすらっとした洋種の馬に乗っていたわけではありません。日本では、かつて国内産の在来種たちが活躍していました。いまでも道産子・木曽馬・与那国馬など一部の地域でその姿を見ることができますよ。

現在では「日本在来馬」と呼ばれるこうした馬たちは、身体はずんぐりとして小柄。蹄は小さく固く、性格は忍耐強く温厚などの特徴があり持久力にも優れていたと言われています。

乗馬をしていると「馬は蹄鉄が付いているもの」と思いがちですが、昔は道が舗装されておらず土だったことや日本在来馬の蹄が硬いことなどから日本では多くの馬が蹄鉄を使っていなかったのだとか。

蹄を保護する必要がある場合は、金属製の蹄鉄ではなく人間の草鞋と同じく藁で編んだ馬沓を使用していたことが当時の浮世絵などからも分かります。

以外に遅い?短距離走行能力は!?
サラブレッドなどに比べると小柄な日本在来馬。実際に早馬を務めた場合、どれくらいの速さで移動することができたのでしょうか?

最大時速は30~40kmだけど…?
日本の古式馬術を研究している団体が検証した結果、木曽馬が甲冑を着た成人男性を乗せた場合の最大時速は30~40kmほどだということが分かりました。サラブレッドの半分くらいとはいえ、結構早いと感じた人もいるのではないでしょうか?

ただし、馬は生き物。当然持久力には限界があります。1時間ものあいだ全速力を保てる馬はおそらくいないので、実際は1時間で60km先まで早馬を飛ばせるわけではないということになりますね。

馬の消耗を防ぐ乗り方
体格差もあるため、実際に大きな体の洋種と小柄な日本在来種を比べた場合に「どちらが持久力があるのか?」というのは簡単に答えを出すことができません。

ただし、ドラマで「早馬を飛ばす」場面でよく見るようにブリティッシュのような駈歩で全力疾走させていたわけではなさそう、ということが分かっています。

昔の日本では、重い鎧兜を着た成人男性でも小柄な在来馬で長距離を移動する必要がありました。そうした背景から編み出されたのが古式馬術の「居鞍座り」など馬の消耗を防ぐ独特の乗馬方法です。