東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の前会長で、清和会元会長、すなわち安倍派の “ドン” である森喜朗元首相(85)が、7月10日夜、血まみれで救急車に運ばれたという。


 事の顛末を、本人が『正論』(2022年9月号)で述べている。

《(10日の)参院選開票日の夜に、こともあろうに私は風呂場で倒れるんだよ。初めて救急車に乗せられて病院に運ばれた。風呂場だから真っ裸で血だらけ。

 半分無意識で救急車に揺られたりしているときに思ったのは、これは相当やばい、安倍が倒れて俺が倒れて大変なことになる。

 いやいや、安倍が呼んだのか。それとも来るな、後のことをしっかりやってください、と言ったのかなと思って、簡単には死ねないなと》

 森氏が倒れた直後の党内の様子を、自民党関係者が語る。

「安倍さんの通夜は11日、葬式は12日におこなわれましたが、森さんは12日の葬式に姿を見せたので本当に驚きました。他党関係者も目を丸くしていました。

 一時は、東京五輪組織委員会の高橋治之元理事の捜査がらみで雲隠れしたのではないかと噂されましたが、本当に入院していたわけですから。

 いま、安倍派の後継者問題があるので、それに関する連絡が森さんに殺到しているのは事実です。特に派閥事務総長の西村(康稔)さんが一番動いているんじゃないかな。

 森さんも長としての責任感があるんでしょう、その姿に『あの歳で不死身だな』と感心している議員も多いです」

 では、党内最大派閥の “跡目” 候補は誰なのか?

「誰もが、帯に短し襷に長しというのが正直なところです。みんな物足りない。はっきり言えるのは、旧統一教会との関係が取り沙汰されている下村(博文)さんの目はほぼないということ。拙速にトップを決めて派閥が割れるような事態を招くよりは、しばらく集団指導体制を続けるほうが賢明でしょう」(前出・自民党関係者)

 森氏自身も同誌のなかで、いま総裁選に出られる候補者は安倍派にいないとしつつ、少なくとも2~3年のうちに松野博一氏、西村康稔氏、萩生田光一氏、高木毅氏、世耕弘成氏の5人のうちで自然に序列が定まっていくと述べている。

 自らの目の黒いうちに、意地でも次期トップ就任を見届けるつもりなのは間違いない。