「爆破シーン」体験ツアーが大人気 特撮や西部警察ファンにはたまらない? [きつねうどん★]
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写真提供 SET UP JAPAN
映画やテレビドラマの爆破シーンを体験できる──こんな国内ツアー旅行が話題だという。だが、事情を知らない者には「爆破?」と疑問が浮かぶだけだ。一体、どんなツアー旅行なのか、まずは読売旅行の公式サイト(註)を見てみよう。
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そこには、《【東京駅発着】≪体験≫まるで刑事ドラマの主人公! 巨大な火花が立ち昇る爆破体験!! 日帰り》と書いてある。旅行ライターが言う。
「公式サイトには、巨大な火柱をバックに、コスプレ姿でポーズを決める参加者の写真が掲載されています。特撮や刑事ドラマのテレビシリーズでおなじみの爆破シーンが再現され、それを写真や動画に収められるという観光ツアーがネット上で話題なのです」
具体的な日程はこうだ。開催予定日は8月27日の土曜日。ツアーは午前9時、貸し切りバスで東京駅を出発。最初は栃木県佐野市にある「出流原(いずるはら)弁天池」を訪れる。
「池の水が環境省の名水百選に選ばれただけあり、透明感が桁違いです。周囲の自然環境が素晴らしいのは言うまでもありませんが、池を泳ぐ鯉が空中に浮かんでいるように見えることでも知られています。いわゆる“インスタ映え”する観光地として人気です」(同・ライター)
その後、佐野プレミアム・アウトレットで自由時間。ショッピングや食事を楽しんだら、いよいよ本命の“爆破体験”だ。
「バスは栃木市にある岩船山に向かいます。ここには採石場の跡地があり、爆破やアクションシーンの撮影場所として映画業界では有名です。ここで『ナパーム爆破』を体験します。要するにガソリン系の燃料を大爆発させるのです。まさに絵に描いたような“紅蓮の炎”が生まれるのが特徴です」(同・ライター)
あの爆破シーンを再現
特撮のテレビシリーズで爆破と言えば、「スーパー戦隊シリーズ」を思い出す人がいるかもしれない。
「秘密戦隊ゴレンジャー」(1975年)から始まり、現在は「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」(テレビ朝日系列・日・9:30)が放送されている。このシリーズでヒーローたちは、巨大な火柱をバックにポーズを決めることが多い。
刑事ドラマで筆頭に挙げられるのは、「西部警察」(テレビ朝日系列・1979~1984年)だろう。サーチエンジンに「西部警察 爆破」と入力し、画像検索をすれば、懐かしい大爆発が何枚も表示される。
確かに、これは“ニーズ”がありそうだ。おまけに、誰でも簡単に再現できるものではない。当たり前だが、ツアーでは特撮作品で爆破を担当している技術スタッフや、火薬を扱う技能認定を取得した専門家がセッティングを行う。
「テレビや映画でおなじみの爆発シーンをバックに、自分の姿を写真や動画に収めたいという人は少なくありません。観光ツアーが話題になるのは当然ではないでしょうか」(同・ライター) ヒットを確信した課長
当然だとはいえ、奇想天外な企画なのは間違いない。どうやってこんなにユニークなツアーを考えついたのか、読売旅行のテーマ旅行企画グループ課長、佐々木浩二さんに話を聞いた。
「企画の原点としては、たまたま今年の4月、大学生の話を聞く機会があったんです。コロナ禍で依然として授業はリモートが続いており、なかなか友達もできない。辛い状況に心を動かされ、それがずっと記憶に残っていました」
すると同じ頃、大学生との会話とは全く関係なく、宇都宮営業所長から情報提供がもたらされた。
「『戦隊シリーズに出てくるような爆破を体験できる場所が、栃木県にあるそうなんです』と連絡をくれました。私も『面白そうだな』と思って、営業所の所員と一緒に体験してみることにしたんです」(同・佐々木課長)
さっそく爆破体験を申し込み、岩船山の採石場跡地に向かった。現場では担当者が、風向きや距離を入念にチェックする。そのため危険というイメージは全くなく、「わくわくドキドキ」していたという。
「ところが、実際に爆破が行われると、凄まじい轟音に身動きすらできませんでした。予想を遥かに超える迫力に心から驚きましたが、次の瞬間、『爆破体験ができる観光ツアーを企画すれば必ずヒットする』と閃いたんです」(同・佐々木課長)
鈍かった出足
佐々木さんは約20年間、観光ツアーの企画に携わってきた。経験豊富なベテランの頭の中で、「コロナ禍に苦しむ大学生」と「爆破体験」がつながった。
コロナ禍によるストレスに悩まされている人は多い。自粛モードを強いられてから、早くも2年が経過した。この爆破体験でストレスが吹き飛ぶ人は多いのではないか──。
「『これほど面白い体験なら、若い人だけでなく様々な年齢層の人に楽しんでもらえるはずだ』、『インスタ映えという観点からも話題になるかもしれない』ということも同時に考えました。急いで企画を練り、5月の社内会議で提案しました」(同・佐々木課長)
会議でも「これはいける」と全員が賛成した。ところが、6月にツアーの販売をスタートさせたところ、出足は鈍かった。
「『まだ夏休みまで間があるからかな』と考えていると、シナリオライターの青木健生さんが興味を持ってくれたようで、Twitterでツアーの募集広告を『すげー行きたい』と写真入りでツイートしてくださったんです。一気にSNSなどネットで拡散し、メディアからも取材依頼をいただきました。おかげさまで84人の定員が満席となり、キャンセル待ちを希望される方も、かなりの人数となりました」(同・佐々木課長)
老若男女が予約
9月10日の追加販売を行うと、8月4日現在で61名が申し込み、残りは23席。更に10月下旬にも実施が予定されている。
「私が実際に体験したことで、『様々な年齢層のお客さまに楽しんでもらえる』と確信できました。予約状況を見てみますと、予想通り性別や年齢に偏りはありません。1人のお客さま、グループ、家族連れと、幅広いお客さまから申し込みをいただいております」(同・佐々木課長)
爆破体験と聞くと、特撮や刑事ドラマのファンが中心というイメージを持つかもしれない。だが、予約者の年齢層だけでなく“参加動機”も様々なようだ。 「もちろんマニアックな方もいらっしゃるはずですが、新郎新婦が爆破をバックに動画を撮影して結婚式で上映するとか、ご家族が記念撮影をするとか、本当に色々なアイディアをお持ちのようです。ツアー当日、どのような撮影が行われるのか、どのような感想を口にしてくださるのか、何よりも私たちが楽しみにしています」(同・佐々木課長)
人気の理由は「安心感」
その一方で、参加者の“ニーズ”を絞り込んだツアーも検討しているという。
「コスプレ限定ツアーとか、刑事ドラマのファン限定のツアーとか、今後はニッチな企画も準備したいと考えています。お客さまの様々なご希望に応えられると、私どもとしても嬉しいですね」(同・佐々木課長)
実際のところ、個人で爆破体験を申し込むことも可能だ。それでも、読売旅行のツアーが話題を集め、高い集客力を実現しているという事実は、ビジネスの観点からも興味深い。
「弊社主催のツアーということで、お客さまが安心感を覚えてくださっているのかなと受け止めています。『爆破体験はちょっと怖いけど、読売旅行のツアーなら安全だろう』、『自分で車を運転するのは面倒だけど、読売旅行のツアーなら安全に目的地へ連れて行ってくれるだろう』というお客さまが予約してくださっているのではないでしょうか」(同・佐々木課長)
註:【東京駅発着】≪体験≫まるで刑事ドラマの主人公! 巨大な火花が立ち昇る爆破体験!! 日帰り
デイリー新潮編集部
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