世界最長寿のレトルトカレーブランドとして知られる「ボンカレー」。大塚食品を代表するロングセラー商品として長年幅広い層から愛されている。1月10日にはボンカレーが「ギネス世界記録」に認定されたと発表し、話題を集めた。

 お湯やレンジでサッと温めるだけで食べられるレトルトカレーは、忙しく働くビジネスパーソンの夕食、リモートワーク時の昼食で大変便利だ。また、忙しい子育て世代からは、ぱぱっと子どもに食事を提供できることも支持される。そんな風に、今はなじみ深いレトルトカレーだが、開発当初はさまざまな苦労があった――。

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元祖ボンカレー(提供:大塚食品、以下同)

他社とは違うカレーを 開発の経緯
 1964年、関西でカレー粉や即席固形カレーを製造販売していた会社を大塚グループが引き継いだのが大塚食品の始まりだ。

 「当時はカレーといえば『洋食の代表』で、ごちそうメニュー。カレー粉や缶詰での販売が主流でしたが、メーカー間の競争が激しかったんです。そんな中、『他社と同じものを作っても勝ち目はない』『何か違ったものを作りたい』という考えから生まれたのがボンカレーです」(製品部 レトルト担当 中島千旭さん)

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1968年に発売した初代「ボンカレー」

 同社は「一人前入りで、お湯で温めるだけで食べられるカレー、誰でも失敗しないカレー」のコンセプトで開発を開始。「常温で長期保存が可能であること」「保存料を使わないこと」の2点を絶対条件とし、試行錯誤の末、1968年に世界初の市販用レトルトカレーとして、「ボンカレー」を販売した。

 当時のボンカレーは、ポリエチレン/ポリエステルの2層構造の半透明パウチを採用しており、光と酸素によって風味が失われてしまい、賞味期限は冬場で3カ月、夏場で2カ月と短かった。

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