リニア中央新幹線の建設を巡り、山梨県の長崎幸太郎知事は9日の記者会見で、静岡県の専門部会が山梨県内のボーリング調査で出る水の由来を議論していることについて、「どういう意味があるのか理解に苦しむ。全くのナンセンスで時間の無駄だ」と批判した。

https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/06/20230610-OYT1I50050-1.jpg?type=large
山梨県の長崎知事(右)と話す静岡県の川勝知事(5月24日、東京都千代田区で)

 静岡県は、山梨県内で出る水でも静岡県由来であれば、静岡県内に戻すようJR東海に求めている。「山梨県で出る水は山梨の水」とする長崎知事は「(静岡を流れる)富士川の水の源泉は山梨と長野県内だが、両県の水になるのか」と疑問を呈し、「日本は法治国家なので、法律に基づいて静岡県の水となる根拠を明らかにしてほしい」と求めた。

 ボーリング調査については、静岡県の専門部会で肯定的な意見が相次いでいる。水の由来を調べるには「(調査を行った上で)サンプルを分析するのが科学的だ」(専門部会の丸井敦尚委員)との意見があり、調査停止を求める静岡県の主張とは食い違っている。

 JR東海の丹羽俊介社長は「慎重に調査を行い、県境に近い区間などでデータを取得することが必要だ」との考えを示している。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230610-OYT1T50103/