フランス語の教師をはじめておよそ30年になる中条省平さん。フランス語に挫折してしまったあなたのために、「フランス語の大体が頭に入り、フランス語を恐れる気持ちが消える」ことを目指して書かれた『世界一簡単なフランス語の本』から、フランス語のはじめの一歩をご紹介します。

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「ボンジュール」は「良い一日を」の意味
さて、この章で最後に学ぶ基本動詞は allerアレです。「行く」という意味ですが、いろいろな使われ方をします。

例えば、フランス語をまったく知らない人でも、フランス語の挨拶といえば、「ボンジュール」と「コマンタレブー」という言葉くらいは聞いたことがあるでしょう。

まずは「ボンジュール」。Bonjour. と書きます。bonボン という形容詞はもう77~78ページでやりましたね。「良い」という意味です。後半の jourジュル のほうは「一日」という意味なので、あわせて「良い一日を」ということになり、「こんにちは」という挨拶として使われています。

ちなみに、jour からできた言葉に journalジュルナル があります。「1日ごとに出るもの」「1日ごとに書くもの」という意味から、「新聞」と「日記」の両方の意味になります。journal を仕事にする journalist を英語読みにすれば「ジャーナリスト」となって、「新聞記者」「報道関係者」ということになるわけです。

さて、bonjour は日本では「ボンジュール」といいますが、より正確なフランス語の発音では「ボンジュル」と音は伸びません。

この bon が付く挨拶の言葉はほかにもいくつかあります。

Bonsoir.ボンスワル

日本語では普通「ボンソワール」というカタカナ言葉で知られています。soirスワル は「夕方、晩」の意味ですが、bonsoir はかならずしも「こんばんは」という意味だけではなく、午後4時くらいから「良い夕方をお過ごしください」というニュアンスでも使われます。

Bonneボヌ nuitニュイ.

これは、形容詞の bon が nuit(夜)という女性名詞に付いて bonneボヌ という女性形になった表現です。bonjour、bonsoir はよく使われるので1語になりましたが、bonne nuit は2語のままです。意味は就寝前の「おやすみなさい」ということになります。

つづき
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